中小会社のための会社法備忘録
企業法務弁護士ブログ~法律の本にあまり載ってない実務上の問題を気の赴くままに・・
取締役会

定款上、取締役は3人以上となっていますが、取締役が1名死亡し、2人となりました。また、残った2人のうち、1人は決議事項につき特別利害関係があります。この場合、取締役会の定足数は1人になりますか?

答:いいえ。定足数は2人になります。

解説

定足数の算定の基礎は、原則、現存する取締役の数になります。ただし、それが法令・定款に定める最低員数を下回るときは、その最低員数が算定の基礎となります。

上記の例外として、特別利害関係取締役は定足数の算定の基礎には参入されません。

ここでは、定款上の員数が3人であるところ、1人が死亡して2人となり、現存する取締役の数は2人となります。なお、死亡した1人は(任期満了又は辞任による退任ではないため)会社法346条1項の「権利義務取締役」には該当しません。

現存する取締役の数は2人となると、法令・定款に定める最低員数の3人を下回るため、算定の基礎は最低員数の3人になるのが原則です。

しかし、現存する取締役2人のうち、1人は決議事項につき特別利害関係があるため、その取締役は、算定の基礎から除かれることになります。

そのため、算定の基礎は2人となり、定足数は2人となります。

従って、現存する取締役2人のうち、特別利害関係のない取締役1人のみでは定足数を満たすことができず、決議を成立させることはできないことになります。