中小会社のための会社法備忘録
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株主総会議事録及び取締役会議事録を外国語で作成することはできますか?

答:できません。日本語で作成する必要があります。ただし、外国語の翻訳文を添付することや外国語を併記することは差し支えありません。

解説

株主総会議事録及び取締役会議事録の使用言語について、会社法上明文の規定はありません。

しかし、株主総会議事録・取締役会議事録は、日本の会社法に基づき設立された株式会社の機関である株主総会及び取締役会の議事を記載したものであり、日本の会社法に基づき作成が義務付けられている書面であることから(会社法318条1項、369条3項)、日本語で作成されることが当然の前提とされていると考えられます。

また、会社法の下位法令である会社法施行規則及び会社計算規則では、外国語を使用することができる場合を明記されている(会社法施行規則33条の2第3項2号柱書、会社計算規則2条3項3号等)ことからも、それ以外の場合は日本語で作成することを会社法は想定していると言えます。

従って、株主総会議事録及び取締役会議事録は日本語で作成する必要があると考えられます。

そして、株主総会議事録及び取締役会議事録は、現在及び将来の株主及び債権者の閲覧謄写請求の対象となるため(会社法318条4項、371条2項~4項)、仮にその時の株主あるいは取締役の全員が同意したとしても、外国語で作成することはできないと考えられます。

法務省も「内国会社の株主総会議事録や取締役会議事録等の会社法上作成が義務づけられている書面については,日本の公用語(日本文字)をもって作成する必要があります」としており(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00102.html)、登記申請においても、外国語で作成された株主総会議事録や取締役会議事録は受理されません。

これは、会社が外国法人の100%子会社である場合等株主が全員外国法人・外国人である場合もあてはまりますので気を付ける必要があります。

ただし、日本語の議事録について、外国語の翻訳文を添付することや外国語を併記することは差し支えありません。