答:実務上は、定足数に影響がない限りは、審議・採決に参加させないのが適切です。
解説
ある取締役が特別利害関係取締役にあたるか分からない場合、その取締役を審議・採決から除外するべきか判断に迷うことがあります。
この点、特別利害関係取締役が決議に参加した場合、その取締役会決議には瑕疵があることになりますが、その取締役を除外してもなお議決に必要な多数が存するときはその効力は否定されないとする見解もあります。
しかし、特別利害関係取締役が審議・採決に参加したことで、他の取締役の議決権行使に影響を与えることも考えられるため、数の論理だけで判断してよいか疑問も残ります。
そこで、実務上は、定足数に影響がない限りは、審議・採決に参加させないのが適切です。
ただ、この場合、仮にその取締役が特別利害関係取締役ではないことが事後的に明らかになった場合、その取締役は議決権行使を妨げられたことになるため、かかる観点からその取締役会決議には瑕疵があることになります。
そのため、重要な決議については、①その取締役を会社から一方的に除外するのではなく、その取締役に自主的に退席・棄権してもらう、または、②その取締役を除外した決議を行った後、更に、その取締役を含めた決議を行う、といった対応を取ることも考えられます。
①よりも②の方が法的にはより手堅い対応にになります。また、②は、定足数に影響がある場合(ある取締役を特別利害関係取締役として除外して決議する場合において、その取締役が特別利害関係取締役ではないと仮定すると定足数を満たさなくなるとき)にも有効な手段になります。