答:該当します。B社の別の代表取締役OがB社を代表してその取引を行った場合も同じです。
解説
原則として、取引の相手方が取締役自身である場合(自己取引)のほか、取締役が取引の相手方を代理又は代表する場合には、利益相反取引にあたると考えられています。
従って、A社の取締役XがB社の代表取締役を務める場合、A社がB社と取引を行い、取締役XがB社を代表する場合に、これが利益相反取引に該当することは明らかです。
一方、その取引において、取締役XがB社を代表せず、B社の別の代表取締役Oが代表した場合も、利益相反取引に該当するかは考え方が分かれます。
この点、A社の取締役XがB社を代表していない以上は、XがB社の(代表権のない)平取締役である場合と同様に、利益相反取引に該当しないとする考えもあります。
しかし、どの代表取締役の名義で取引を行ったかにより結論が変わる(=X以外の者がB社を代表すれば利益相反取引規制を免れることができる)のは妥当ではないと考えられます。
そのため、実務上は、A社の取締役が、B社の代表取締役を務める以上、A社との取引をB社の誰が代表したか否かを問わず、一律に利益相反取引に該当するとして対応することが適切と考えられ、そのように対応する会社が多いと思われます。